スコティッシュフォールドのお話

転載元:しらさぎ動物病院の院長ブログ

とっても可愛いスコティッシュフォールド☆
丸っこい体にまるで人間のようなスコ座りが可愛くて、いつか飼いたいと思っていました。
ただ飼っている方のお話を聞いていると、偶然かもしれないけど、ずいぶん病気の子が多い気が・・。
気になって調べてみると、スコ座りが遺伝性の形成不全であることを知り痛ましく思うようになりました。

ある日、訪れたブログで障害に苦しむ国ちゃんの存在を知りました。

スコの障害、純血種、悪質なブリーダー、
いろいろ考えていただければ・・と思い、院長先生にお願いして転載させていただきます。

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犬の短頭種に引き続き、今回は猫で人気が高まっているスコティッシュフォールドのお話です。
スコティッシュフォールドとは、耳が折れて小さい丸顔の猫で、ドラえもんを猫にしたようなとても愛らしい外観を特徴とした猫で、近年人気が高まっています。

歴史的には、1961年にスコットランドで生まれた1匹の耳の折れたオス猫から始まり、それが子猫に遺伝することがわかって、ブリティッシュショートヘアー(BSH)と交配させながら広められた品種です。それがアメリカに渡ってアメリカンショートヘアー(ASH)も交配されるようになり、現在ではスコティッシュ×BSH、もしくはスコティッシュ×ASHの子供がスコティッシュフォールドとして認定されるようです。

折れ耳は優性遺伝ですが、他の猫と掛け合わせるため立ち耳のスコティッシュも当然生まれます。
これを読んで疑問に思われる方もおられるかもしれませんが、スコティッシュフォールドという種類はスコティッシュだけでは成り立たず、折れ耳のスコティッシュを常に立ち耳の猫と交配しなければならないのです。(血統書にこだわるならば折れ耳のスコティッシュとBSHもしくはASHと交配することが必要です。折れ耳の子と交配すれば、他のどんな立ち耳の猫と掛け合わせても折れ耳の子は生まれてきます。)ではスコティッシュの折れ耳同士を掛け合わせるとどうなるのか・・・今日はそのお話をしていきたいと思います。




「じゃあスコティッシュって雑種なんだ」といえばまったくそのとおりですが、そうせざるを得ない理由があります。耳が折れるということは耳の軟骨が曲がって育つためですが、これは耳だけに出るとは限りません。尻尾に出たり、足に出たり、様々な障害を起こす可能性があります。ひどいと骨瘤という状態になり、それはかわいそうなことになります。スコティッシュと立ち耳を正常に掛け合わせても障害が出る可能性がありますが、折れ耳同士を掛け合わせると血が濃くなりすぎて障害が出てしまうわけです。

ちょっと難しいかもしれませんが、遺伝子の話をします。耳が折れる遺伝子をFd、立ち耳の遺伝子をfdとすると、遺伝子は必ず対になるので、普通の折れ耳のスコティッシュの遺伝子はFdfd、立ち耳の猫の遺伝子はfdfdとなります。Fdは優性遺伝なので、ひとつでも入れば耳は曲がります。これを掛け合わせると、生まれてくる子の遺伝子の組み合わせは4通りで、Fdfd、fdfd、Fdfd、fdfdとなり、理論的に言えば折れ耳の子が生まれてくる確立は半分です。(実際には3頭に1頭という記述が多いので、半分でないとすれば胎児の過程で育たずに生まれてこない子がいるのかもしれません。)

もし折れ耳同士を掛け合わせると、Fdfd×Fdfdとなり、生まれてくる子はFdFd、Fdfd、Fdfd、fdfdの4 通りで、75%が折れ耳となりますが、この中のFdFdが問題となります。FdFdの子どもは骨の成長が正常でなくなり、骨瘤という病気や発育不良など様々な障害を抱えることになります。普通そのような子猫は目にしませんが、現在急速にスコティッシュフォールドが増えていることを考えると、中には裏で処分されている子もいるかもしれません。

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保護活動されている方が実際に悪質なブリーダーから救出した猫を紹介します。

写真の国ちゃんという子、何ヶ月の子猫に見えますか?

初めて病院に来たときは1.0kgで、連れてきた方も僕たちもてっきり3ヶ月の子猫だと思いました。とてもかわいらしいし、四肢が異常に大きく不恰好なことを除いては、頭の大きさや体・足の長さはどう見ても子猫です。来たのが9月でブリーダーは4月生まれだといいますから5ヶ月にしては小さいなと話していました。でもその後ちっとも大きくならないし、乳歯は完全に抜け替わって時間が経っている感じだし・・・で、もう一度そのブリーダーに確認してもらうと、なんと国ちゃんは1年前の4月生まれで1歳5ヶ月だったのです。

本来なら3?4kgはあってもよさそうな年齢です。子猫のまま大きくならなければずっとかわいいのに・・・なんて冗談をよく聞きますが、実際に成長が止まってしまった子を目にすると、なんとも胸が痛みます。

ただ小さいだけならまだしも、国ちゃんは四肢とも典型的な骨瘤になっており、発育不良で腸が短いせいか、常に下痢の状態で何をどう治療しても治りません。来院当初はさらにひどい状態で、真菌性の皮膚炎があるわ、耳ダニはいるわ、下痢はぴーぴーでカンピロバクター(下痢を起こす大腸菌)やジアルジア(下痢を起こす原虫)は見たことないくらい大量にでるわで何から手をつけていいかわからないくらい病気の宝庫でした。

保護された方の熱心な看病と国ちゃんの生きる気力(または食欲)のおかげで皮膚と耳は治り、下痢も奇跡的にまあまあ良くなり、体重は1.7kgまで増えました。もし国ちゃんに興味がある方は、是非KAZUさんのブログをご覧になってください。

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写真(左)は国ちゃんの骨瘤のレントゲンで、比較としてうちのクロのレントゲン(右)をのせます。骨瘤とはこんなにもひどいものなのです。手首足首より上は形は正常に近いですが子猫のまま成長が止まってしまっています。

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国ちゃんは典型的なFdFdであると考えられます。意図してかどうかはわかりませんが、折れ耳同士でかかってしまったと考えられます。国ちゃんはかわいくて性格もいい子ですが、このような子が生まれてしまうのは人為的だし、あってはならないことです。少なくとも最低限、折れ耳同士を絶対に掛け合わせないでもらいたいです。ブリーダーでなくとも、折れ耳のスコティッシュをオスメスで飼っている方がいらっしゃるかもしれません。その場合は必ずどちらかを避妊去勢してもらいたいものです。

ある程度正常に発育した折れ耳のスコティッシュでも、足などに多少の障害が出る可能性があmり、うまく爪が研げなくて巻き爪になってしまう子がいます。骨の曲がりにより痛みが出るケースもあるようです。病気の話ばかり書きましたが、実際には折れ耳でも無症状の子のほうが多いように思います。また、折れ耳でない場合はこのような症状は起こらないと考えられます。




これらの骨の遺伝の問題とは別に、アメリカンショートヘアーやブリティッシュショートヘアーの遺伝病が出るケースもあります。
肥大型心筋症などはその1例です。このような遺伝病はスコティッシュに限らず多くの血統種でみられることがあり、血統種を飼われる場合は特有の遺伝病がないか調べ、病気に備えておくことが必要です。(肥大型心筋症などはある程度年をとってから発症することが多く、子猫のうちはわからないことがほとんどです。)

また先ほどのブリーダーのように、繁殖するだけで病気の予防や治療を一切行なわないブリーダーもいます。そのようなブリーダーが市場へ子猫を持ち込むことによって、耳ダニや真菌、寄生虫などの治療できる病気以外にも、エイズや白血病、FIPといった不治のウイルス病などが健康な子猫にうつってしまうこともあります。
もちろん問題があるペットショップばかりではありませんが、値段ばかりを気にせず、そういったことに留意してお店や子猫を選ぶとよいでしょう。信頼の出来るブリーダーさんが見つかればなお良いかもしれません。

当然血統種には血統種の良さや歴史があり、そういったことを楽しめるのはすばらしいことですが、血統種をペットショップで買うことばかりが猫を入手する方法ではありません。願わくば、KAZUさんのような人から保護された子猫を引き取ってもらいたいものです。




最後に、僕は決してスコティッシュフォールドが嫌いなわけではありません。非常に印象深い思い出に残っている子もいます。(ハチ・・・もう一度会いたかった。)
ただこのような種の人気が遺伝病の知識抜きに、「かわいさ」だけで高まってしまうことを恐れています。血統種は生き物です。ブランドものではありません。


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今も国ちゃんは一生懸命生きようと、KAZUさんと一緒に頑張っています。
純情仔猫物語






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Comments 6

もっぷのまま

スコは折れ耳と立ち耳の猫を掛け合わせるのはしってましたが、こんな残酷な病気があるとは知らなかったのでショックです
無知なブリーダーが先天性の病気を蔓延させるのかと思うと、怒りの震えます
ブリーダーも免許制して、きちんと病気やその他の事を学んだ後にやって欲しいと思います
国ちゃんは優しい方に保護されたから助かっただけで、そのまま放置されていたらと思うと怒りを通り越して悲しくなります
人間ってどこまで傲慢さを発揮すれば気が済むのかと思います
いい加減に反省してくれ、繁殖を止めてくれ

2011-02-15 (Tue) 13:43 | EDIT | REPLY |   

まぐろ

記事にしてくれてありがとう。
私はスコティッシュフォールドの繁殖に反対です。
ブログを始めるときから、スコティッシュについては書こうと思っていました。
きちっと調べて書きたいので中々時間がとれず記事にできていませんが・・
(その前に、目下、毛皮の記事を準備中)

立ち耳であっても骨瘤が出るという情報もあります。
折れ耳であれば、その可能性は増し、一生骨瘤の可能性が付きまといます。
わざわざ猫が苦しむ遺伝子を残す理由が私には理解できません。
かわいいから、売れるから、それだけの理由で、
猫の健康よりも人間のエゴを優先してのブリーディングなど禁止すべきだと思います。

2011-02-15 (Tue) 15:22 | EDIT | REPLY |   
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nene

>もままさんへ

アメショーとかけ合わせるようになってからは、落ち着いたと思っていたので国ちゃんの件はショックでした。
でも私たちが知らないだけでスコの繁殖現場では経験上知ってるのでは、と推測ですが思います。
悪質ブリーダーは知ってても、ブームで売れるからと生ませるんでしょうね・・。
人知れず”処分”されている可能性もありますよね。
障害があり売れないスコは、そのまま冷凍保存・・という噂もありました・・・。

皆がみな、心あるブリーダーならいいですが現実は残念ながらそうではないですよね。
規制はやはり必要だと思います。

信じられないほど病気を持っており、今もたくさんの病に苦しむ国ちゃん。
小さなケージだけが自分の世界で育った国ちゃんを見ていると、本当にこんなことを許してはいけないんだと思います。
今も、まだたくさん悪質なブリーダーのもとで苦しんでいる動物たちを解放するために、できることはやっていこうと思っています。

2011-02-16 (Wed) 22:28 | EDIT | neneさん">REPLY |   
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nene

>まぐろさんへ♪

スコ座りが形成不全だと知った頃から、スコという品種に関して疑問を持つようになりました。
どれほど可愛くても、国ちゃんのように一生先天性の病気で苦しむような品種を人間のエゴで作り出してしまうのは、やっぱりおかしいと思います。

人間だって子供が生まれるときに望むことは、
なにより五体満足で元気であれば・・それだけですよね。
同じように猫にも元気に生まれてきてほしい、長生きしてほしい、そう思います。

まぐろさんの記事はいつも丁寧で考えさせられることが多いです。
アップされたら、また勉強させていただきます。

2011-02-16 (Wed) 22:40 | EDIT | neneさん">REPLY |   

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2014-05-16 (Fri) 21:19 | EDIT | REPLY |   
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nene

鍵コメさんへ

良いブリーダーさんの元で、愛情いっぱいに育まれた猫ちゃん達、とても幸せですね^^
本当に猫のことを思いながらだと、繁殖業は時間も手間もかかり、商売としては儲けが出ないと思います。

そういうルールを守ったブリーダーさんなら良いのですが・・・
残念ながら、そういう方は少ないのが現実ではないでしょうか。

私の周りのスコ達も、せいぜいが7年と短命な子ばかり・・・。
無理な繁殖をした可哀想な子たちが市場で多く出回るのも(闇で処分されるのも)買う人間がスコの可愛さ、穏やかな性格しか目を向けていないのもあると思います。

記事のことを知れば、折れ耳同士の繁殖がおかしいと分かるはずです。
本当にスコのことを思うなら、もっとスコのことを知った上で「選択」をしてほしいと記事を転載させていただきました。





2014-05-18 (Sun) 11:23 | EDIT | neneさん">REPLY |   

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